『痴漢専用路線バス 痴漢Gメン VS 痴漢師』
(ストーリー)
痴漢Gメンをしている木村由美子(25歳)の耳にある噂が入って来た。
管内で痴漢専用路線バスなるものが走っていると言う。由美子もにわかに信じられずにいた。しかしながら噂を教えてくれたのは由美子の先輩で尊敬している黒木警部補(35歳)なだけに、おそらくは真実なのだろう。
「黒木さん、その話、本当ですか?」
「ああ、確かな筋からの情報だから本当だ。今のところ被害者は『母と娘』、そして『強気そうなギャル』だけらしいが、これ以上被害者が出ない様にしたい、だから…」
言い淀む黒木の思いを察した由美子が口を開いた。
「わかりました、私が囮になります」
美人で巨乳な由美子が囮になると高らかに宣言した。痴漢に遭う危険性が高いだけに黒木がもう一度確認をとる。
「いいのか?」
「はい!」
由美子は力強く頷いた。
それから数日後、黒木の情報網を駆使して『痴漢専用路線バス』が走る時間帯を探り当てる事に成功した。
由美子はバスに乗る事を決意した。もちろん黒木も由美子のガードの為にそのバスに乗り込んでくれる。
当日、バス停に佇む由美子は喪服姿だった。
スタイルのいい由美子なら痴漢に遭う確率は高い筈だが、痴漢師達の気を引く為に喪服を着てバスに乗り込む事にした。
この喪服を選んだのは由美子の隣に立つ黒木だった。長年、痴漢師達と対峙して来た黒木ならではのアイデアなのだろう。
そうこうしているうちに、お目当ての『痴漢専用路線バス』が停留所にやって来た。
見た目は普通の路線バスと変わらない。
(本当にこれが痴漢専用なのかしら?)
疑念を抱きつつ由美子と黒木がバスに乗り込んだ。
中には2人の男性しか乗っていなかった。
(空いてる!これじゃ、痴漢行為はできないわね!)
確かに由美子の思ったように痴漢をするには車内は空き過ぎている。
一瞬気が緩んだその時だった。男性2人が由美子の両脇に陣取り、
「ガチャッ、ガチャッ」
由美子の両手首手錠をかけた。さらに吊革がかかっている鉄の棒に手錠の片割れを男達がかける。
両腕の自由が完全に奪われてしまった由美子が黒木を見ると
「へへへッ」
薄ら笑いを浮かべているのが見える。
(どう言うこと……)
喪服姿の由美子の心臓の鼓動が早くなったその時、バスが停留所に停まり数人の男性が乗り込んで来た。そして、黒木に声をかけ始めた。
「黒木さん、イイんすか?この痴漢Gメンに痴漢しても?」
「あッ?…イイさ、由美子はやり手だから早めに芽を摘んでおかねぇと後々めんどくせぇから…せっかく俺が思いついた『痴漢専用路線バス』を潰されてもいやだからな」
黒木の言葉を聞いて由美子は耳を疑った。
巨悪の根源は黒木だったのだ。しかし、時すでに遅し、上半身の動きを完全に封じ込められた美人痴漢Gメンに逃げる術は無かった。卑劣な痴漢師達の手によって喪服スカートの裾が徐々に太ももの方へと引き上げ始めた。
「キャァアアア…やめて、お願い」
由美子の悲鳴が車内に響き渡ったその瞬間、車内アナウンスが聞こえた。
『他のお客様のご迷惑になりますので車内での悲鳴はおやめください。なお、このバスは男性陣が満足するまで止まりません!』